近くの病院で治療を終えた楓馬君は、すぐに屋敷に戻ってきた。
右足の打撲と左手首の骨折。
大怪我だ。
医者からの絶対安静の指示に従って、今は部屋で横になってる。

そんな怪我人と同じ部屋で過ごす訳にもいかず、今日から私は、使用人室で寝泊まりすることにした。

浅い眠りを繰り返してから迎えた朝。
楓馬君の部屋の前に行くと、ちょうどお医者さんが出てきたところ。
白衣を着た神谷さんだった。

昨日まで知らなかったけど、神谷さん、実は医師免許を持ってるらしい。
彼はなんでもできてしまう。