「今のはあんたが仕掛けたんだからね」

そんなつもり一切なかったんだけど…。

さっきから手錠を器用に扱ってる。
それもそうか。現役の警察官なんだから。

だとしたら、こっちに対抗の余地はないんじゃないの…?

「ちょっと…、なに?」

彼が鎖を手首に巻き、その手を頭上に持って行く。
繋がれた、私の左手も、もちろん持ち上げられていく。

いや、もう上らないから!
痛いってば!

埋められない身長差。背伸びをして痛みを和らげるまでになって、ようやく止めてくれた。

なにこれ。不安定。
少しバランスを崩したら彼の方に倒れ掛かってしまいそう。
必死に体勢を保つ。

それにまずい。
この構図は結構まずいんじゃない?