…あれ?
渇いた音が聞こえてきた。
その直後に、じんとした痺れが拳に響いてくる。

狙いを定めて打ってやったというのに、片手で受け止められてしまっているではないか。

「うん、悪くない」

隙を狙ったのに。
こんな簡単に止められるなんて。

「さすが…、警察官ですね」

なんて、負け惜しみを言うしかできない。
悔しい。こんなことじゃいつまでたっても敵わない。

でも、思いっきり拳を振ったせいか、不思議と少しはスッキリできたかも。
こういう機会でもないと、反逆のチャンスはないからね。

そこからさっさとステージの端に戻り、改めてマイクに声を乗せた。

「では、もう少しお時間があるようですので、質問のある方は挙手をお願いします。
護身術でわからなかったところなど、なんでも良いそうですよ」

いきなりの質問タイムに、周りと顔を見合わせる学生たち。
数秒すると、あちこちから手が上がるようになった。