「それでは、今教えた護身術を実際にやってみたいと思います。

はい、まず後ろから掴んで」

「は?護身術?」

「なに、聞いてなかったの?」

そう言われると、聞いてませんでしたなんて正直に言い出せない。

「こ、こう?」

「違う、肩掴んで」

尖った視線が飛んでくる。

「ごめんなさい…」

指示されたとおりに、肩付近を掴む。
その状態で、マイクを通して話し出す。

「後ろから急に掴まれたとします。
そしたら、掴まれている方の腕を前に持ってきて、そのまま背中の方に向かって大きく振り上げる。

そして、そのまま相手の肘へと腕を持ってきて、最後はぐっとひねりあげる」

何も考えてなかった私の腕は、まんまと彼にひねるあげられていた。