「はい。紹介いただきました蒼井です。
皆さんご存知の通り、最近不審者が多く出ています。
私たちが皆さん一人一人を守ることができればいいのですが、そういうわけにもいかないので、今日は、自分の身を守るための方法をお伝えしようと思います。
もし、怪しい人物を見かけたらすぐに110番してください。
と言っても、悪い人間がいかにも怪しい格好をしてるとは限りません。
行動が怪しいと思ったら、それは怪しい人です。見た目に踊らされないでくださいね」
楓馬君が大学にいて、こんなふうに登壇してるなんて変な感じ。
思った通り、注目浴びてるし。
スマホを構えて写真を撮ってる学生もいる。
だけど、楓馬君にそこまで気にしてる様子はない。
これが、彼にとっては日常なのかもしれない。
ちょっと信じられないけど。
「今からいくつか事例を話します。
中にはぞっとする人もいるかもしれませんが、現実には、執着心をこじらせてとんでもない行動をとる人間がいるんです。
まずは、そういう人間が身近に存在するかもしれないということを知っていただきたい。
どんなにまっとうに生きていても、そこにあなたが存在しているだけで、犯罪に巻き込まれる可能性が生じている。
脅すつもりではありませんが、それくらいも気持ちを持っていていただきたいんです。
危機感は最大の防御ですからね」
なるほど。
自分は大丈夫なんて思わないようにってことか。


