■第二章■
〈忘れ去られた心〉

阿修羅


サンスクリット語(梵語)において同じ言葉でありながら、一方は『命を与える』一方は『非天、非類』と異なる解釈に意訳される。

古代インドの魔神アスラが仏教に取り込まれたものとされ、その際には仏法の守護者として八部衆に入れられた。

三面六臂に異なるそれぞれの表情を浮かべる姿で描かれる事が多く、元は正義の神であったが、娘を奪った『力の神、帝釈天』に永遠の戦いを挑み続け、遂には善心をも失い、闘いに明け暮れるうちに赦す心をも持たぬ魔神と化した。

その精神より闘神と崇められる事も多いが、阿修羅が創りし修羅界は六道において人間界と餓鬼界の間に位置し、闘いに明け暮れる地獄と解釈される事も多い。