―――――アサガオ



 どの位走っているんだろう?

 市の郊外の方?

 市街地しか知らないアタシは窓の外の風景に釘付けになる。

開発の進んでいない土地を割る様に、大きく立派で綺麗な舗装の道路が真っ直ぐに続く。

 男は先程から一言も話さずに、その道路をひたすら車で走っている。

アタシはと言えば結局は車を下りる事も無く、殺される事も無く、ただ黙って助手席から外を眺めていた。



 もしかしたらアタシは、このまま山まで連れて行かれて殺されるのかもしれないのに、自然とそう思わなかった。

 ただし男が話さなくなった事にアタシはさっき怒った事を後悔した。



『・・・し・下着が困るの』



「・・・え?」



『可愛い下着があってもブラのホックが止め難いから・・・どうしてもフロントホックかチューブトップしか選べなくなるの・・・』



「・・・そ・・そうか大変なんだな」



『うん』



 アタシは男に媚を売るのが嫌いなクセに、男の無言が耐えられない。

 だからアタシはいつも折れる。