男は嬉々とした顔で、なおもクダラナイ質問を続ける。

無邪気な子供が母親を困らせる様にアタシに聞いてくる。

 アタシは左手が無い事が、それだけで辱しめを受けている様に感じ始めた。

 苦痛だ。

この男との空間がとてつもない苦痛に感じる。

 アタシの弱い部分が悲鳴を上げる。



 お願い。



 お願い。



「・・・左手が無い分
料金も変わるのか?」



『・・・ぃ・・かげんにして』



「ん?」



『いい加減にして!!
何なのアンタ?!
アタシを馬鹿にしてんの?!
それとも客の付きそうに無い片手の売春婦に
飯を奢ってやるからって、いい気になってんの?!
・・・銃があるから強気なの?!
バカじゃないの?!』



 アタシは振り切れた。

 泣きじゃくるみたいに熱い気持ちが、胸の奥から込上げて来たが、それは涙ではなく声に形を変えた。

 感情は怒りに変わっていた。