アタシは男の言動に益々腹が立ち、男の頭を平手で叩く。


「っつ!!何すんだバカオンナ!!」


『うるさいバカオトコ!!何とかしてみせるわよ!!』


アタシはムキになりながら、態と怒りを露わにするようにツカツカとトラックのフロントガラスの方へ向かう。

衝突の時に、フロントガラスを突き破り人が投げ出された。

上手くすれば割れたフロントガラスから運転席に入れるかもしれない。


『うん、いける』


フロントガラスはボロボロに割れていて、アタシが容易に入り込めそうだった。

アタシはトラックのひしゃげたグリルに手を掛け、完全に潰れたバンの後部バンパーに足を掛け、フロントガラスの大穴を目指し登り始める。


『―――キャッ!!』


フロントガラスの穴から中をのぞき込もうとした時、トラックの左側に回り込んできたゲリラが、アタシの影を見付け撃ってきた。

アタシは頭を下げ、トラックとバンの僅かな隙間で動けなくなってしまう。


『ちょっとぉ!!バカオトコ助けてよぉ!!』


アタシは仕方なく、嫌味なバカオトコに助けを求める。