『無駄な抵抗はするな!!躊躇せず射殺する!!』

銃撃され倒れていてもなお、すぐさま立ち上がり状態を冷静に立て直そうとする奴の頭に、ニューナンブを突きつけ一言放つ。

俺はこの瞬間、初めて奴と面と向かい、奴と視線を交える。


―――思ったよりも若いんだな


二十代前半、端正な顔立ちの涼しげな表情をした男だった。

ただし、奴の眼差しには躊躇無くオートマチックをぶっ放すような得体の知れない闇のようなモノは確かに感じ取れた。

そして銃を突き付けられているにも関わらず、奴の表情は一切の曇りも見せず、冷静に機会を窺っているように見て取れた。

 奴の目線の先がほんの一瞬だが、横で、俺の銃撃を受け膝を抱え悶え苦しんでいるアメリカ人に向けられる。

俺がその僅かな変化に気付き、奴を警戒したのも束の間、奴は左の袖口を僅かに揺らし、僅かに姿勢を起こす。


『なっ!?』


奴の袖口からキラリと金属質の物体が見えたかと思った次の瞬間、境内に一発の銃声が響き渡った。


『ぐあぁっ!!』