―――――傭兵



 トラックの停まっているホテルの前は、正に戦場の様を呈している。

革命軍の防衛線は完全に崩れ去り、残党がホテル内から応戦する。

京子とか言う女が言っていた通り、おそらくは復権派であろうその部隊は完全に革命軍よりも優勢だ。


――つまりは、このままじゃ俺もヤバいって訳か


クライアントが武器を売ろうとしてたのは革命軍だろう。

正直な所、どっちがくたばろうと俺の知った事じゃねえが、取り敢えずはクライアントとトラックをどうにかしないとならない。

ここまで来る間に三発は使った、弾倉に残っている弾は九発。

相手はロシアか何かのお古だとしても、腐っても自動小銃を持ってる十数人の血気盛んな黒人ゲリラ。


『――分が悪い』


周りを見渡し、打開策を考える。

絶望的な程に手が無い事に気付き、乾いた溜め息が漏れる。

取り敢えずは自分だけでも助かる為の、逃走経路を模索しだし始めた時に、ホテルの方から一際デカい音が耳をつんざいた。