『無えって言ってるんだから、無えんじゃねぇか?』


「ハァ?!」


若いモンが俺の言葉に拍子抜けした顔を見せる。


『なぁオヤジ、グラスとあとラーメン頼んで良いかな?あと餃子もな』


「へ・・へい!!」


オヤジは恐る恐る紙封筒を若いモノ手前のカウンターに置きながら、調理場の方へ駆けていく。

若いモンがそのやり取りを見ながら舌打ちをして、俺の座っているテーブルの前に来る。


「ヤマモトのオジキ!!いったい何のつもりですかい?」


『何のつもりって?これから晩飯のつもりだがな』


若いモンはテーブルを叩きつけながら、今にも噛みつきそうな顔で俺を睨み付ける。


「ヤマモトのオジキ・・一応この辺は山本組のシマだし、ウチのオジキとアンタは兄弟分だ。義理を通すつもりでアンタにも声を掛けたが、コレはウチのシノギなんだよ!!・・・いくらオジキの兄弟分でも邪魔するならコッチもそれなりに出るぜ・・・」


若いモンがまくし立てるように、俺に向かって吐き捨てる。

ラーメン屋のオヤジが震えながら「どうぞ」と言って、俺と若いモンの間にコップとおしぼりを置く。