―――――ヤマモト



「――すいません。今月は上がりが少なくて・・今はこれしか」


油で汚れ、ヨレヨレになった調理服を着たオヤジが若いモンに三万が入った紙封筒を渡す。


「なぁオッサン!!少ないってコレだけじゃ元金分減らねぇぞ!!」


若いモンが中華料理屋らしい赤いカウンターを叩きつけながら凄む。


「ひぃっ!す・すいません!」


「スイマセンじゃねぇだろ!!」


――お決まりのパターンだな。

俺はそんなやり取りを横目に冷蔵ケースの中から瓶ビールを取り出す。

冷蔵ケースの上にあった栓抜きを使い瓶の栓を抜いたが、周りを見回してもグラスが見つけられなかった。


『なぁオヤジ、グラス何処だ?』


「ヤマモトのオジキッ!!オジキからも何とか言ってやってくださいよ!!」


若いモンは、如何にも俺の態度が気に入らない様を全面に押し出しながら俺に噛みついてくる。