しかし、セダの心をカヤが知るはずもなくセダと一緒に踊り出す。

セダは、何度も心の中でこの気持ちを見透かしてくれと叫ぶ。しかし、華やかで楽しい時間は終わることなどない。

カヤはセダの手に触れ、優しく微笑む。セダは泣きなくなるのを、叫びたくなるのを、グッと堪え続けた。



宴が終わったのは、九時過ぎになってからだった。お風呂に入り、ライリーたちはすぐにそれぞれ与えられた部屋へと入っていく。

「セダさん、おやすみなさいませ」

パジャマ代わりの白い着物を着たカヤが微笑む。セダも、「おやすみ」と言ってくるりとカヤに背を向けて歩き出した。セダの与えられた部屋は、カヤの部屋とは真逆の方向だ。

空を見上げれば、美しい月が顔を出していた。星も煌めいていて、さっきの宴のような華やかな夜に相応わしい。

「……カヤ……」

セダはカヤの顔が頭に浮かび、ポツリと名前を呟いた。

「……やはりあなたは、カヤのことが好きなのですか?」

不意に声をかけられ、セダは振り向く。お酒とつまみを手にしたキクがいつの間にか近くにいた。聞かれていたこと、気持ちを気付かれていたことにセダは動揺する。