海賊と宝石の歌姫

「海賊に襲われたなんて嘘みたいだ……」

ハナダの修復技術にセダたちは驚く。カヤは「そんなことないですよ」と笑った。

村の中へ入って行くと、見知らぬ人間が来たからか建物の中から着物を着た人々が次々に出て来た。どれも刀を腰にさした男性たちだ。

「貴様ら、何者だ?」

多くの人の中から一人が前に出てセダたちを睨み付ける。黄色の家紋の入った青い着物に、黒い袴の切り揃えられた黒い髪の男性だ。とても小柄だが、刀をいつでも取り出せるようにしている。

「俺の名はセダ・イーリス。海賊アレスの船長だ」

セダがそう言うと、「海賊!?」と男性たちは一気に警戒する。セダの名前を訊いた男性も警戒をさらに強め、セダを睨み続けた。

緊張した空気が漂った刹那、「待ってください!」とカヤがセダたちの間から飛び出す。すると、男性たちは一瞬にして驚いた顔を見せた。

「セダさんたちは、攫われた私を助けてくださいました。そして、ここまで送ってくださったのです。ですから、刀に手をかけないでください」

男性たちは次々に刀から手を離す。しかし、先頭に立つ男性は唇を震わせ、カヤを見つめていた。