……なんで。


私、知らないうちに芦名くんになにかしちゃったのかな。


「その目、やっぱり無自覚なんだね。他の人にも見せてるの?」


「え……?」


「わかんないよね。……それも気に食わない」


そんな、優しい手つきで頬っぺた触りながら言っても、説得力ないよ。


「たった一人の女に振り回されてるなんて、芦名康生らしくないし、」


その“芦名康生”っていうのは、きっと

──ウラの芦名くん。


「でも、」


芦名くんはまた顔を近づけてきて、今度は私の首元に顔を埋めた。


「──っ、痛」


熱が触れはじめたあと、チクリとした痛みがはしる。


顎の辺りに芦名くんの髪が触れていて、余計に私の心臓を高鳴らせて。


芦名くんが離れた頃には、心臓が尋常じゃないほどバクバクしていた。


「野乃が俺に溺れるまで、俺のお気に入りって印つけとくから」


「今、何して……」


「キスマーク」