「じゃあ野乃ちゃん、今度、俺と料理する?」


「いいんですか!?」


「うん。康生だって、野乃ちゃんが作った料理食べたいでしょ?」


なななな、なんでそこで、わざわざ芦名くんに話振るんですか……!?


芦名くんだって、そんなこと聞かれたって迷惑なわけで。いや、芦名くんのことだから、気を遣って肯定的な返事をしてくれるんだろうけども……!


それにしたって申し訳ないというか。


「食べたい」


「えっ?」


思わずマヌケな声が出てしまったのは、芦名くんがあまりにも真剣な顔で言ってたから。


てっきり、冗談として流すために笑いながら言ってくれるのだとばかり思ってたけど。


「康生、目が据わってるよ」


孝也さんに苦笑いされながらそう突っ込まれても、芦名くんは眉すら動かさず。


「野乃の手料理、食べさせてくれる?」


ただ私に答えを求めてくるだけだから、なぜか戸惑ってしまう。


私なんかの料理でよければ、いくらでも……なんて思ったけど、芦名くんの気迫に圧倒されて、うまく声が出ない。