芦名くんの隠しごと




あまり孝也さんとそんな話はしたことなかった気がする……けど、気がするだけなのかな。



「……あれ、そうだっけ。じゃあ、俺が勝手に調べたのかなあ」


「わたしも忘れちゃいましたけど……なんかすみません、変なこと言っちゃって」



わたしが忘れてるだけで、自分から言ったのかもしれないし。

それになんとなく、孝也さんならわたしのお母さんの職業を調べることくらい、朝飯前な気がする。偏見だけど。



「…………、」


「どうしたの?芦名くん」



わたしから声をかけたら負けって気がしてたけど、あまりに注がれてくる視線に耐えるのは無理だった。

わたしと孝也さんが話し始めてから、わたしたちを交互に見ている……ように見えた。