芦名くんの隠しごと




康生くんの後ろ……バイクの後ろってことだよね……?


乗る、の……?


「康生くん、私、バイク乗ったことない…」


私がためらいながらそう言うと、なぜか康生くんも夏樹くんも吹き出した。


…真面目に言ったのに、ひどい。そんなに笑わなくても。


「…水上、俺も康生も、お前がバイク乗ったことあるとは思ってねえよ……」


夏樹くんが、お腹を押さえて笑いながらも、途切れ途切れに言う。


康生くんはというと、声すら出せないようだ。


……そんなに変なこと言ったつもりはなかったんだけどな。


「でも水上、お前すげえな。康生がこんなに笑うのなんて珍しいぞ」


「え……?」


康生くんはクラスでもよく笑っていて。


“基本的に明るい人”というイメージなのに。


すると夏樹くんは、軽くため息をついてから、また呆れたように言った。


「ああ。また作り笑いしてんのか、康生」