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───あれから、わたしと芦名くんは晴れて正式にお付き合いをすることになった。

まさか、わたしに“恋人”ができる日が来るなんて。

それにあの相手が、芦名くんみたいな完璧な人気者なんて。


あのときの忘れ物がなかったら、こんな未来は来なかったのかな……なんて思うと、あのとき録画し忘れた番組なんてどうでもいい。



「野乃~!おはよう今日も天使だね……!」


「ひゃっ!?あ、あああ芦名くん!?ここ学校……!教室……!」



周りにいたクラスメイトが、一斉にこちらに視線を向け、目を丸くしている。


そりゃそうだ。

今までなんの接点もなかったわたしたちが、普通に話しているのだから。しかも、人気者とぼっち人間。


……ついでに言えばわたしも驚いている。たぶん、クラスメイトたちよりも。


学校では話さないんじゃなかったっけ……!?