芦名くんの隠しごと




「…ってか、追われてるんじゃなかったのかよ」


康生くんに疑うような目を向けながら、どこか投げやりに言った夏樹くん。


「…ああ、そういえばそうだったね」


「俺をわざわざ呼び出しておいてソレかよ…。随分と余裕だな」


軽く舌打ちしてから、夏樹くんは呆れたように康生くんに言う。


「まあね」


「うぜえ」


なんか、だんだん夏樹くんが不機嫌になっていってる気がするけど、大丈夫かな。


「夏樹、怒らないで」


「元々こういう目つきだって、お前は知ってるだろうが。水上を不安にさせたいならやめてやれ」


な、と私に向かって軽く笑う夏樹くんが、かっこよくて。


今さらだけど、ものすごい美形に囲まれてて、私の寿命が縮んでたりするのかな、なんて不安になる。


ふたりとも、すごく優しいし。


「とりあえず。水上もいるし、さっさと戻るぞ」


「そうだね。野乃もヘルメット被って。俺の後ろに乗って」