芦名くんの隠しごと




「あの、夏樹くん…。それってどういう意味…?」


私がそう聞くと、反応したのはなぜか康生くんで。


「野乃、俺の名前呼ぶのは時間かかったのに、夏樹の名前はすぐに呼べるんだ。…なんで?」


「えっ、あの…」


「康生、やめてやれよ。つーかそんなことで妬いてるとか、相当やばい奴だぞお前」


夏樹くん…!


言ってることはあんまりわからないけど、庇ってくれてるんだよね。


ありがとう、夏樹くん。あとさっき怖いなんて思ってごめんね。


やっぱり康生くんが言ってた通り、いい人だ。


なんて思っていると。


「夏樹は黙ってて。俺は野乃に聞いてるの」


「え…その…」


また私に話が振られ、戸惑ってしまう。


なぜか責められてるみたいな気分になって、泣きたくなる。


「ゆっくりでいいから。教えて」


康生くんの優しい声で落ち着きを取り戻して、言いたいことを頭の中で整理しながらゆっくり話しはじめる。