「…夏樹」
自分が呼ばれたわけでもないのに、いつもより少し低めの凄みのある康生くんの声に、ビクッとしてしまう。
「なんだよ」
そんな康生くんの声にも動じない様子で返事をする夏樹くん。
……すごいな。
「野乃のこと好きになったらダメだよ?」
「!?」
そう言われて驚いたのは、夏樹くんではなく私の方。
ナニを言ってるのかな康生くん!?
私と夏樹くんは、まだ出会って3分も経ってないのに。
そうじゃなくても、私なんかが好かれるとか……ないだろうし。
どっちかっていうと、私が夏樹くんのことをうっかり好きにならないように気をつけないといけないんじゃないかな。
…気をつけよう。
「ばーか。他人がいるところに、お前がわざわざ俺を呼ぶなんて初めてだろ。…というかお前、案外独占欲強いんだな」
「別に普通だと思うけど」
ど、独占欲…?
聞き慣れない言葉が出てきて、頭がこんがらがりそう。



