───違う。月森はともかく、伊織は。


だって伊織は、“こっち側”では珍しいほど、真っ直ぐな奴だから。


誰よりも、本当は“こっち側”は似合わない奴。


……けれど。





「───そう、だな」


カンタンに騙された俺が、そんなことを言う資格はないから。


俺は、“その場では”そう言うしかなかったんだ。