「心配、してくれてるの?」
「心配っ、するよ」
むしろ、なんで芦名くんがそんなに不思議そうに聞いてくるのかがわからない。
「……ありがと、野乃」
「…っ、下の名前……知ってたの?」
いくらクラス替えして一ヶ月経ったとはいえ。
クラスの人の名字は覚えたけど、下の名前までは覚えきれていない。
芦名くんみたいに人気者で目立つ人の名前は覚えてるけど、フルネームを言えない人が多くて。
だから、芦名くんが私みたいな地味な女子の名前を覚えてくれてたことに、驚きを隠せない。
「同じクラスでしょ。当たり前じゃん。それとももしかして、俺の下の名前は知らない?」
「いや、芦名くんの名前は知ってるよ…!」
「じゃあ呼んでみてよ、俺の名前」
「え…!?」
ななななな、なぜ。
芦名くんは私の心臓を爆発でもさせたいのかな…!?
「はやく」
「…っ、」
「呼んでくれなきゃ、チューしちゃうかも」



