芦名くんの隠しごと




結局。


お言葉に甘えて、乗ってしまった。


洋服越しに芦名くんの体温を感じて、さっきから心臓がうるさい。


「あ…芦名くん?このあとどうするの?」


「しっかり掴まっててね」


……芦名くん。


とてつもなく嫌な予感がするのは気のせいですか。


タンッ


「ひっ…!?」


「…ふぅ。水上さん、大丈夫?ケガしてない?」


……それはこっちのセリフです。


芦名くんはなんと、私をおぶったまま、さっきのように門を飛び越えてしまって。


開いた口が塞がらない…とは、まさにこのこと。


驚きを通り越して、絶句してしまう。


「私は大丈夫だけど……。芦名くん…無茶しないで」


「無茶してないよ。水上さん、軽かったし」


「そうだとしても……!!」


芦名くんひとりだったらまだしも、私を背負ってたら、足首くらいは挫いてしまうかもしれないのに。


…いくら私が門を上れなかったとはいえ、無茶しすぎだ。