芦名くんの隠しごと




…やっぱり、って。ちょっとひどいな、芦名くん。


……できないけどさ。


「じゃあ水上さん、ちょっとそこ、よけてくれる?」


「え…う、うん」


私が二三歩下がると、その数秒後に、芦名くんが門を飛び越えてきて。


「あ…芦名、くん?」


「水上さん、乗って。俺の背中」


「え…!?」


それはいわゆる、おんぶというやつでは。


男の子とそんなに密着する経験なんて、もちろんなくて。


想像だけで、キャパオーバーしてしまう。


「早く」


「や、でも……重い、よ?」


「水上さんが自分のこと重いって思ってても、俺からしたら違うかもよ?」


……そうは言われましても。


こんなことになるなら、お菓子控えておけばよかったなあ…なんて思ってしまう。多分あんまり意味ないけど。


「大丈夫だよ。俺、力持ちだから」


キラキラスマイルでそう言われてしまい、もう何も言い返せなくて。


「し、失礼します…」