どこかで、私と芦名くんが仲良くしていることを聞いたのかもしれない。


私を連れ去ったら、芦名くんを(おび)き寄せられると思ったのかもしれない。


もっと警戒しておくべきだった。


いくら花瀬くんがいたとはいえ───、って。


花瀬くん、どこ?


「私のことは、すべてが終わったらお話しさせていただきますよ」


「……っ、花瀬くん、は?」


「ああ。───伊織、呼ばれてますよ」


ドクンと胸が鳴る。





暗闇から姿を現したのは───紛れもない花瀬くん、だった。