…っ、かわいい。
口元に人差し指を当てた芦名くん、あまりにも絵になりすぎる。
…って、そうじゃなくて。
「やっぱり芦名くん、本当は運動できるんだね…!」
「まあね。でも、学校で全力出しちゃうと、目立っちゃうから」
…な、なるほど。
たしかに芦名くんの見た目で、勉強も運動もできるとなると、目立つだろう。
…あまりにもハイスペックすぎるし。
でもその言い方だと、芦名くんは目立つのが嫌だということになる。
――やっぱり、芦名くんはみんなに隠してることがあるんだろう。
「それより。水上さんも脱出しないとだよ。おいで」
「え…!?」
そんな簡単に言われても。
私には芦名くんみたいな運動神経はないし。
……そもそも壁を上ったことなんてないのですが。
もし仮に上れたとしても、今度は着地という問題に差し掛かるわけで。
「ム、ムリだよ…」
「あ、やっぱり?」



