「……芦名、」 何を考えているのかわからないような無機質な声で、たった三文字、驚く様子もなく言った花瀬くん。 一瞬でわかった。 花瀬くんも、隠しごとがあること。 だって、さっきの芦名くんの声は ───顔を見なくてもわかるような、温度のない冷たい声だったから。 「……野乃に触っていい男は、俺だけだから」 「へぇ。天下の芦名康生も、ちゃんと人間だったんだ」 「お前が花瀬じゃなかったら、殴ってたかもな」 「よく言うよ。殺(や)るときの眼してたくせに」