芦名くんの隠しごと




*



やって来た先は、保健室。


「──いいかげん離してください……!」


「だから無理」


「なん………っ、」


その先は言えなかった。


花瀬くんとの顔のキョリ、およそ5センチ。


驚きすぎて、言葉が止まった。


「……ちっか」


「離れてください……!離してください……!授業に戻ります……!」


「いーから、話聞けって」


シャッというカーテンを開ける気持ちの良い音とは裏腹に、私の気分はドン底だった。


理不尽にも程がある。


そっちから声かけてきたくせに、女の子ってだけで冷たくされるし。


あんな目立つことされたら、しかも花瀬くんに、みんなの前であんなことされたら、私の“クラスで友達できる確率”が大幅に下がってしまったではないか。……もともと低かっただろうけど。