そんな日々が続いて
あの男は大きな手術があるとかで、長く家を留守になるようだった


母はいつもより雰囲気が明るい感じがした
少しだけ弱々しく笑っていた


「お母さん今日は楽しそうだね」


そう母に言えば、


「そうね。 やっと解放されるのよ」


今となっては意味がわかるが、その時は分からなかった
ただ母が楽しそうにいることが嬉しかった


それから母はいつもより豪華な夕食を作ってくれた
ハンバーグに、コンソメスープ、それからデザートまで


贅沢を許さなかった父は、食費をろくに残さなかった


僕が食べている時、母はいなかった
それから再び母が現れると


「お母さん、綺麗になってるね!」


そう、いつもあの男がいるからできない化粧をして、綺麗な服に身を包んだ母がいた


まるで知らない人に見えた