「もう無理はきかない
療養した方がいい」


父の診断では、もう永くないとのこと



「薫… 帰っておいで」


「母さんが不安になるよ」



そうだったと項垂れる父に
追い打ちをかける


「もう、薬はいいよ
父さん、お願いがあるんだ
母さんと孝太と京を離れてくれないか」









俺の死をしらせないために






喋れるようになったのは、一年前


新選組では喋れないフリをしている




「わかった…」







父さんが俺を抱きしめ泣いた




親より先に逝くなんて
絶対ないと思ってた


俺は、藤太郎とは違うと思ってた





両親を悲しませないと思ってた






「さよなら…」