「なあ、悪かったよ。俺はただお前に聞きたかったことがあったから連れてきただけなんだよ。」むくれた夢愛に剛は言う。
「もういいよ。そのかわり後でアイスおごってよね。それが条件だからね!で、聞きたいこととは?」
道端に生えている猫じゃらしをちぎりブンブン振り回す夢愛。
「お前さ、まだなんも思い出せないの?俺とのことも。親御さんとか学校とか色々。」
「全然ダメ。卒アルとか貸してもらってるやつは何度も見てるけど全然思い出せない。もちろん、お母さんやお父さんのこととか申し訳ないけど剛のこともまだ思い出せない。あたしってほんとだめだよね。どうしてなにも思い出せないのかな。最近なんか考えれば考えるほど自分が嫌になる。」悲しそうに笑う彼女を見ると無性にハグしそうになったがあえて頭を撫でた。
「お前はなんも悪くない。お前がそんなに考えてるなんて知らずに無神経なこと聞いて悪かった。ゆっくり思い出せばいい。よし、今日は高いアイス奢ってやるよ!」