「でも、ダメですね、やっぱり。突き放そうって思ってもあなたがあまりにも純粋だからつい優しくしてしまう。だからダメなんです。
僕の恋は終わってるんです。でもあなたの恋は終わってない。だから応援しようと初めは思いました。
でも無理なんです。あなたの好きな人が、僕だって気づいたら。
それで、いつのまにかあなたを目で追っていた。
好きになってたんです。」
うそ…でしょ?
「言っておきますけど僕、失恋したのなんて2年くらい前なんですからね。」
そう言って苦笑する先輩。
少しイジワルし過ぎちゃいましたって笑ってる。
「好きですよ、瑞稀ちゃん」
これが夢なら覚めないでほしい。
「夢じゃないですよ、現実です」
私の心の中を読み取ってツッコんでくる。
そして、そっと私の前に立つと、私の右の頬を優しくつねった。
「ほら、こうしても痛くないでしょ?」
そう言ってまた優しく微笑む。