それから、足早に昇降口まで向かった。


あとは帰るだけ。私は、流れていた涙をゴシゴシと擦って、息を吐く。


「あ〜また言った〜これで私からお願いできるね!」


遠くから、こっちに向かってくる声が聞こえる。


そっと柱の陰から覗くと、そこには

速水先輩の片思いをしている相手の、小南(こみなみ)先輩が、永倉先輩といた。


「……っどうして…なんでこんな時に会うの?」


私は、居ても立っても居られなくて昇降口の近くの踊り場へ行った。


壁にもたれてずるずると座り込む。


速水先輩の好きな人は小南先輩で。

小南先輩の好きな人は永倉先輩で。

私は速水先輩が好きで。


どれも一方通行の恋だから、交わることなんてないから。