「では、あの家の周辺で怪しい人物がいなかったか、聞き込みをしてみよう」

如月刑事が言い、原刑事が頷く。その時大河が言った。

「あの、山本さんが手に持っていた紙に書いてあったことって一体何だったんですか?」

「それがまだわからないんですよ〜。被害者の周りの人間を調べたんですけど、OやKで始まる名前って誰もいなかったんです」

原刑事が悔しそうに言った。

その夜、研究所から出た藍は「待ってください!」と大河に話しかけられた。

「河野くん、どうしたの?」

藍が訊ねると、大河は顔を赤くしながら言う。

「あの!よかったら、ご飯一緒に食べませんか?霧島さんが好きそうなお店、見つけたんで……」

藍は予定を確認する。今日の夜は何もない。

「予定もないし、行こうかしら」

藍がそう言うと、大河はパアッと花が咲くように笑う。藍は不思議に思いながらも、ご飯を食べに行くことにした。

「どんなお店なの?」

「パスタがすっごくおいしいんですよ!デザートのティラミスも絶品です!」