藍はゆっくりと説明する。

「Oは、ポーランド語のObiethicaーーー約束を、Kは、Kocham cieーーー愛しているではないでしょうか」

上山英二の目から涙がこぼれていく。藍は優しい眼差しで言い続けた。

「咲さんは、こうして書くことによって、生きる希望を最後まで持ち続けたのではないでしょうか。何があってもあなたを愛する、一緒にポーランドに行く、そう伝えたかったのではないでしょうか」

上山英二は静かに泣き続ける。如月刑事と大河は、それを黙って見つめていた。

降り始めた雨が、町を濡らしていく。それはまるで誰かの涙のように……。