大河が「飲み物を買ってきます!」と言い、近くのコンビニへと走って行った。ベンチに腰掛けた藍はため息をつく。

血のついた猫を探すなんて、無理がある。時間の無駄だったかしら、と藍は考えていた。

その時、チリンときれいな鈴の音が藍の耳に入った。振り向くと、鈴のついた首輪をつけた白い猫がゆっくりと藍に近づいてくる。

「あら、人懐こいのね」

微笑みながら、藍は白猫を抱き上げる。そして爪を見た時、時が止まった気がした。

白猫の爪には、赤い血が付着していた。猫同士で喧嘩をした時に付着したのかもしれない。しかし、山本咲の血の可能性もある。

「ちょっと待って」

手から逃れようとする白猫の爪の血液を、藍は何とか採取することができた。猫は道を走って行く。

「河野くん、血の付着した猫を見つけたわ。その猫を私は追う!」

大河に連絡し、藍は走り続ける白猫を追い続けた。



如月刑事と原刑事は、早川辰巳の顔写真を手に人々に聞き込みをする。

「ああ、その顔の悪いお兄さんならさっきパチンコ店に入って行ったよ」

早川辰巳は隣町ではなく、空き家のあるこの町にいた。予想外の展開に、如月刑事の胸がドクドクと早まる。