店から出た後、「送っていきます!夜ですし、一人じゃ危ないですよ!」と大河に言われ、藍は大河に送ってもらった。

「送ってくれてありがとう。また明日ね」

藍がそう言い微笑むと、大河も「はい!おやすみなさい!」と笑う。

「あ、忘れていたわ」

藍はドアを開けようとして振り返り、大河に笑顔で「パスタおいしかったわ。また一緒にご飯に行きましょう」と言い、ドアを閉める。

そのドアの向こうで、顔を真っ赤にしながら悶える大河がいるとは藍は知らなかった。



お風呂に入った後、藍は如月刑事に電話をかける。捜査で忙しいかと藍は思っていたが、すぐに如月刑事は出てくれた。

「霧島先生、どうされましたか?」

「……ねえ、今は調査をしているわけじゃないんだから普通に話して」

藍がそう言うと、「わかった。何なんだ、藍」と如月刑事は口調を変える。その声がどこか嬉しそうなことに、藍は「捜査、進展があったの?」と訊いた。

「怪しい車を空き家の近くをたまたま通りかかった住民が目撃している。事件が起きる三日ほど前だ」