泣き崩れる上山英二を見ながら大河が言う。しかし、藍は「何か困っているみたいだし……」と上山英二の部屋に行くことにした。

「ありがとうございます!」

頭を下げる上山英二を見つめる藍に、「何があっても守りますから!」と大河が言った。

そして、泣き続ける上山英二とともにマンションへと向かった。

上山英二のマンションは、電車で十五分ほどのところにあった。五階建ての新しいとは言えないものだ。上山英二は四階に住んでいる。

「ちょっと散らかっていますが、どうぞ」

上山英二はそう言い、部屋へと案内する。本棚には医学に関する本がたくさん置かれていた。

「毒物に関する本、お持ちなんですね」

本棚を見ていた大河が言う。本棚には一冊だけでなく、何冊も毒草や毒物に関する本が並べられていた。

「毒に興味があるんですよ。そのせいで、警察には疑われていますけどね……」

上山英二と山本咲は、事件の数日前にしたデートで口論になったらしい。そう上山英二が語った。