混ざったのを確認すると、2つに塊を分けて小判型に伸ばす。真ん中を少しくぼませ、それを薄く油を引き、温めたフライパンに乗せ、数分焼く。

「…懐かしいなぁ」

涼太は、目を細め、ハンバーグを懐かしそうに見つめた。私は「高校2年生の時、色々とあったよね」と返す。

「そうだね。確か、高校2年生のバレンタインで告白したんだっけ?」

涼太の言葉に、私は高校2年生の時の記憶を振り返りながら言う。

「そうそう。私は、あの本命チョコを渡してから告白するつもりだったんだけどな」

昔の記憶が、連鎖反応のように蘇ってくる。私は、懐かしさに微笑んだ。私と涼太は、ハンバーグをひっくり返す。

「ねぇ、梨香…俺と結婚してください」

フライパンにフタをし、涼太は優しく微笑んだ。

「プロポーズの仕方、間違ってるとは思う。だけど、俺はプロポーズをする時にお前とどうしても手料理を作りたかった…2人で楽しいことをしながらプロポーズしたいなって考えた時、これしか思い浮かばなくて…」

私は、静かに首を横に振った。

「私は、高価なものとか要らない。そんな所でプロポーズされたくない。私は、その気持ちを伝えられるだけで嬉しい……私、涼太と結婚したいです」

私は涼太と口付けをする。その時、いい具合に焼けたハンバーグの匂いが漂い、火を止めた。そして、ハンバーグを皿に移し、箸を手に持つ。

2人で手を合わせる。そして、私と涼太の声をそろえて言った。

「愛のこもった料理をいただきます」