私は立ち上がり、両手を広げた。花は首を傾げながら私の方に寄ってくる。そして、私は花に抱きついた。

「私と友達になろ?」

私の問いかけに、花は「え?」と戸惑いを見せた。

「知ってるよ?花ってずっと1人で過ごしていたんだってね。たまたま話しかけてくれたのが涼太で、優しい涼太に恋したんでしょ?」

「…そうよ。私は、孤独だったの…本当は、誰かと話したりしたかった…でも、私から話しかけることは出来なかったの…一人で泣いていた時、涼太くんに話しかけられた…それがすっごい嬉しくて……ごめんなさい。私の行動が、実は涼太くんを傷つけていたなんて…」

そう言って花は泣き崩れる。

「いや、大丈夫だよ」

涼太は、花に微笑んだ。私は、そんな花を抱きしめ、もう一度言った。

「私と、友達になってください」

花は私を見上げ、嬉しそうに微笑む。

「はい」

花はうなずく。私はそんな花を離し、涼太を見つめた。

「……涼太、ところでさ…さっき、私が好きだって言ってたけど…」

涼太は顔を赤く染め、うつむいた。私は、その反応にクスクスと笑う。いつの間にか花の姿が消えている。

「…本当は、放課後に呼び止めて話す予定だったんだけど……私は、ずっと涼太のことが好きだったの」

私は涼太に微笑む。涼太はゆっくりと顔を上げ、これ以上何も言うなと言わんばかりに自分の口に人差し指を添えた。

「……俺も梨香のことが好きです。俺と付き合ってください」

私は涼太に微笑み、「よろしくお願いします」とうなずいた。