「ただいまー」

「おかえりー」

「おー。…て、なんでお前いんの?!」

家に帰ったんじゃねーのかよ!!

「あはは〜。さっき振られちゃったから、バナナもらいにきた!」

さっき振られた?

振られたのはお前じゃねーだろ?

「もう!いけると思ったのに〜」

どういうことだ?こいつ、もしかして。

「嘘だろ?振られたって」

「え?」

「俺、見たんだよ。お前が告白されて振ってるところ」

「…見てたんだ。…まあ、ね。あんたに関係ないし!」

「んだよそれ…」

嫌だった。告白成功しなくて安心する自分も、彼氏が欲しいと言って作らないこいつも、もう嫌だった。

ついに、今までの想いが爆発してしまった。

「俺はなあ、お前がずっと好きなんだよ!だからとっとと彼氏作ってもらって忘れたいんだよ!なんで分かんねーんだよ!」

一気に全部言ってしまった。

あーあ。もう終わった。

引かれる。そう思ってけど。

「そんなの…そんなの私のセリフだよ!好きだから、何かと理由をつけて家に来てんのに全然気づいてくれない鈍感!彼氏なんてあんた以外いらないのよ!」

は…?

い、

「今なんて…」

「だから、あんたが好きって言ってんの!分かった?!」

これは夢?

ホロリ。

「?!なんで泣くのよ!」

「え、あれ?なんでだろ。涙、止まんねー」

ポロポロと涙が溢れていく。

「なあ」

「何?!」

「俺と付き合ってくれね?」

これが精一杯だった。

「そんなの、はいに決まってるでしょ!」

そう言ってこいつは俺を抱きしめた。

俺もこいつを抱きしめた。

強く強く、離れないように。