足立古書堂 謎目録

「みーちゃった」

後ろにいる高木からは足立の顔は見えないが、そうだ、きっと目を細めて笑っている。

獲物を狩る捕食者の目で。

「人のものは盗んじゃいけません、て習わなかったかな?」

「ちが……」

なにか言い訳をしようと男子の口が動く。

「ふうん? なにが違うって?」

「こ……この傘は、両方俺のもので……」

「へえ。わざわざ二本も持ってくるなんて、随分と心配性なんだね」