足立古書堂 謎目録

紺色の、がっしりした、高級そうな作りの男物の傘だ。

足立はシャッターを切る。

男子生徒は少し周りを見て、二人には気づかなかったようで、そのまま玄関を出ていこうとした。

「待ちなよ」

静寂を足立の声が割り、男は固まった。

恐る恐る、といった様子で声のした方に目を向ける。

視線の先で足立は堂々と立って、右手のデジカメをこれみよがしに顔の隣に持ち上げている。