足立古書堂 謎目録

「足音を立てないでね」

さらりと言って、彼女は男のあとを追う。

猫かなにかのように、足音は皆無だ。

動揺しつつも、高木も注意深く歩く。

男子生徒は傘立ての前で立ち止まっていた。

下駄箱の陰から足立はそれを見ている。

デジカメを構え、気配を消して。

男は傘を一本取り上げた。

安っぽい、ビニールの傘。

それで去るかと思いきや、二本目の傘を抜き取る。