耐えられるわけがない。放課後に居残りをしている生徒は、わたしだけじゃなくて、他にも何人かいる。そのせいで先生と話すチャンスはごくわずかで、唯一の楽しみなのに、これさえなくなったら本気でばっくれたくなっちゃう。
「斎藤さんは終わりましたか?」
なんと、先生がわたしの方へやって来た。いつもは手を上げないと来てくれないのに。
「あ、う……はい、終わり、ました……」
ブッブー。わたしの頭の中は真っ白。
「お疲れ様です」
先生はどっかへ行った。
完全に脈なし。先生はわたしをただの生徒でしか見ていない。どうして? これでもわたし、少なくともこのクラスの中では一番ましだと思うんだけど。
先生に思いをはせていると、自分がどんどん醜い落ちこぼれになって行く気がする。講師なんて、ふつうの教師と比べたらたいしたことないのに。
その考えは、帰り道でどんどん深刻化していった。その先にあるのは——怒り。
お昼に買っておいたお惣菜をレンジで温めながら、そもそもどうしてわたしは訓練学校になんか通っているのかを考える。
