行きたくない、行きたくない、行きたくない——。
涙が流れないように何度も瞬きをしながらマスカラを塗った。あの場にわたしはふさわしくない。ふさわしい格好だってできない。ダサい格好はしたくないもん。
嫌がる胃に、なんとか茶碗半分ほどのスープを流しこんだ。こないだ買ったシャツとスカートのウェストがきつくて、ますます吐きそう。
足を引きずって玄関を出る。
ウェイターの頃は、出勤が十時だったから朝はそれほど辛くなかった。田端さんはかなりウザくてたまらなかったけど、白田という変わり者の仲良し(?)はいた。
それに比べて訓練のクラスは、かなり気まずい。教室に入ると心身共に縮こまってしまい、先生に答えを求められると、ほんとうは分かっているのに答えられなかったり、なぜか間違えてしまう。田端さんのようなウザいおばさんもいないのに、自分でも分かるほど、わたしは異常に上がりまくっている。
学校が始まって一週間と半分、サイアクなことに、クラスでのわたしは皆にこう認識された『優等生のいい子ちゃん』笑っちゃう。
「斎藤さんはえらいわね」
ストールを首からぶら下げたおばさんが言う。「毎日居残りしてるでしょう?」
わたしはいい子ちゃんになりきって、えへへと笑った。たったの三ヶ月よ。たったの九十日。九十日も——?
