ただ愛されたいだけなのに



 ライトを点けて、玄関にしゃがみこむ。頑丈に貼られたガムテープを爪で引き剥がし、大金を扱うように、とても慎重にフタを開いた。

 真っ先に目に飛びこんできたのは——ダンボールの半分を占めるほどの大きさの《GODIVA》のチョコレート箱。

 ウソウソウソ⁉︎ それだけじゃない。とてつもなくかわいいリボンモチーフのブレスレットもある。
 腕にはめてみた。外の明かりに照らしてみる。キラキラしてて綺麗。ライトピンクとゴールドの輝き。

 わたしはチョコレート箱を除けた。底に緑色の封筒が張り付いている。
 期待で心臓がバクバク皮膚を殴る。ゆっくりゆっくり封筒を開いた。

《夢へ
 俺のことなんか嫌いだろうけど、
 プレゼントだけはあげたかった。
 楽しみにしてた旅行の約束をやぶってしまって
 本当にごめんなさい。
 このプレゼントだけは会う前に贈りたかった。
 夢、大好きだよ。
 好きで好きで、胸が押し潰されそうだ。
 別れたくなんかなかった。》